今回はSEOや、マーケティングとは関係が無い書籍の書評です。
世界的に有名なWebサービスの開発を行っている、37Signalsの創業者、共同経営者が執筆した書籍です。
37Signalsは「BaseCamp」というプロジェクト管理ツールが有名な会社です。
他にも「Ruby on Rails」という開発言語のフレームワークを作り出しています。
37Signalsはわずか十数人のメンバーが、世界中に散らばっており、殆ど顔も合せる事なく仕事をしているそうです。
彼らは世界に300万人のクライアントを抱えており、大成功を収めていると言って良いものでしょう。
大きな成果を挙げる為に、必ずしも沢山の人材が必要とは限らない。
仕事をどうやって行うべきか?といった事が分かりやすく書かれています。
意識改革から始まる
帯に書かれている内容を見ると、かなり突拍子もない感じを受けます。
「会社は小さく。」「失敗から学ぶな。」「五時には帰宅。」「けんかを売れ。」
どれも、それだけを見ると、何を言っているんだろう?となるような事だと思います。
ただ、書籍の中身を読むと、それらの言葉の意味が「なるほどなぁ」と思えてしまうので、不思議に感じます。
当たり前ですが、トンデモ理論でも、思いつきでもありません。
考え抜かれたロジックです。
また、その説明はシンプルで分かりやすいのも特徴です。
シンプルで分かりやすい言葉、というのは、重要で、こういった言葉で説明できる、という事は、理念や、考え方を正しく共有できるという事です。
考え方や、理念のズレは、プロジェクトの成功を難しいものにしてしまう事も多々あります。
世間一般で言われている、成功の法則的なものや、常識的な事とは、かなり異なる考えが出て来ます。
「何を言っているんだ?」と思われる部分もあるかも知れません。
ただ、この本の説得力がある所は、空想や理論ではなく、彼らの実践から語られている彼ら自身の言葉だ、という事です。
そういう意味では非常に説得力があり、自信すら感じられます。
細かな表現に関しては、原本でどういう表現になっているのか気になったほどです。
読み進めるうちに、自分ならどうなんだろう?、自分ならどうするだろう?といった事を自然に考えていました。
シンプルに書かれていますが、今の自分に置き換えて、考える事が出来るのも良かったです。
思うだけでは何も変わらない。動き出すことが大切だ、と書かれています。
「Get Real(形にしてみよう!)」が大切なのです。
本書を読んでいて気に入ったフレーズ
引用させて貰いながら紹介したいと思います。
書籍の中ではカテゴリ毎に細かく分かれているのですが、多くなりすぎてしまうので、ザックリと紹介致します。
お気に入りフレーズだらけの本でした。
書籍の中には、シンプルに突き刺さる様なメッセージが沢山あります。
ビジネスや仕事に関するフレーズ
- 小さなビジネスを目指すことに不安を抱かなくていい。持続的で、利益の出るビジネスを行っていれば、それが大きかろうと小さかろうと誇るべきことなのだ。
- 自分の見たかった変化を他の誰かが起こすのをまっていてはいけない。
- 利益にいたる方針のないものはビジネスとは言わない。それは趣味だ。
- 新しいことを始めるときは、やらなければいけない芯からスタートしよう。それがなくなったときにどうしても先に進めなくなるもの、それが芯だ。
- 大きな決断をするのは難しい。変えるのも難しく、リスクも大きい。そのため間違っていてもその決断を私たちは正しいと言い聞かせてしまう。エゴとプライドからだ。だから小さな決断をしよう。
- 視覚的に優先順位を付ける。最も重要なことを一番上に配置する。次に重要なことはその下。こうすれば、最も重要なことは一度に一つだけだ。
- 人はダメな仕事も、普通の仕事も、素晴らしい仕事もする。それは考えている以上に環境によるところが大きい。環境にこそ目をつけるべきだ。
- たとえ敗北しても、真似て勝つのに何の意味があるのだろう。
- もしあなたが成功していれば世の中の人はあなたを真似しようとするだろう。だからはじめから真似できないようにするべきだ。他の人が提供できないものにするべきなのだ。あなた自身を商品、そして商品のまわりにあるものすべてにも注ぎ込もう。
- 別れることを考えて彼女とつきあうのか?大事なのは出口戦略じゃなくて、どう関わっていくか、だ。
- 皆を喜ばせようとすると、誰も喜ばない。
時間に関するフレーズ
- ワーカホリックは馬鹿げている。ワーカホリックは時間を投下することで、問題を解決しようとする。だから考えない。力技だ。
- 結局、ワーカホリックが、そうでない人よりいい仕事をするわけではない。完璧主義でもない。単純につまらない細部に執着して次の仕事に取りかからず、時間を無駄にしているにすぎない。
- ワーカホリックはヒーロではない。彼らは危機を救うのではなく、時間を浪費するだけだ。本物のヒーロは仕事をさっさと片付けて、とっくに帰宅している。
- 私達が最も仕事をする時間帯は分かりますか?1人の時間です。驚くべきではなく、これは多くの人が同意してくれることです。あえて朝早く出勤したり夜遅くまで残ったりした方が仕事がはかどるという話もよく聞きます。余計なことを考えずに集中できる時間です。
- うまく仕事のはかどる1人の時間は、我々のコミュニケーション依存症にも効きます。1人の時間では、IMも電話もミーティングもシャットアウトします。メールの即時の返答もしてはいけません。外音を閉じて、自分の仕事のみに集中するのです。
- ひとりだけの、連続した長い時間。それがもっとも生産性が高い時間だ。
- 睡眠はしっかり取ろう。睡眠を取らないことの弊害はあまりに大きい。
- 仕切り屋を雇っては行けない。彼らは小さなチームのお荷物だ。人に仕事を任せる人は、まわりを会議に巻き込むのも好きだ。実際、会議は彼らの大親友だ。会議では本人が重要に見える。一方、出席する他の人たちは、実際の仕事をする時間が削られてしまう。
- 多くの会社では、仕事以外にやることがなく、上司を崇拝し、1日14時間働いてくれて、机の上で寝てくれる20代の社員を理想としている。そしてそこに疑問を持つことを許さず、「これが大企業と戦う唯一の方法だ」と神話を話す。まったく間違っている。
- さぁ時間を縮めましょう。大きな時間を小さな時間の単位に分けるのです。12週間のプロジェクトではなく、1週間のプロジェクトが12週続くと思うのです。30時間かかりそうなタスクではなく、より現実的な6-10時間の単位で細かく考えるのです。
- 「時間がない」はいい訳だ。時間はある。仕事をやめる必要もない。毎週週末数時間だけやってみたらいい。多くの人はやらない。残念ながらそこまで本気じゃないんだ。そして自尊心を守るために「時間がない」という。
今回の記事のまとめ
シンプルで非常に分かりやすい本でした。
お気に入りフレーズをかなり書きましたが、他にも沢山、お気に入りになっているフレーズはありました。
書評を書いている、他のブログなどでも紹介されています。
書籍の中にもありますが、読むだけ、考えるだけでは意味がありません。
行動してこそ意味があります。
時間に関するフレーズを抜き出したのは、僕がタイムマネジメントをかなり意識して仕事をしているからです。
時間に関する捉え方も素晴らしいと思いました。
僕が、今ブログを書けているのも、時間が出来ているお蔭ですからね。
非常に刺激的で面白い書籍でした。
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
著者:ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
翻訳:黒沢 健二、松永 肇一、美谷 広海、祐佳 ヤング
出版社:早川書房
発売日:2012/1/11(完全版)
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