2011年12月22日に被リンクの警告を受けて、順位が急落したサイトがありました。
そのサイトの順位回復までの施策と、警告を受けての対応について事例として記載したいと思います。
サイト概要
具体的なサイト名を出す事は出来ませんが、サイトのジャンルやキーワードについて可能な範囲で記載致します。
○サイトジャンル
30代後半から40代向けの美容健康系のサイト
ターゲットユーザーも上記年代の女性です。
CVポイントは無料相談へのメールフォームからの申込みです。
○インデックス数
約40ページです。
○順位下落キーワード
メイン商材(具体的な商品名では無く「ヒアルロン酸」の様な商品名)に関する単一ワード
月間検索数20,000程度です
○受注時のサイト状態
受注前から大量の自演リンクがありました。
主に中国系のサイトからのキーワードリンクです。
以前のSEO会社が付けたものだと思いますがクライアントも詳しい事は分からないとの事で以前の会社への確認も出来ませんでした。
2011年11月初旬から契約になったサイトですが、同時期に順位が下がった事で前のSEO会社に不信感を感じ、乗り換えで契約となりました。
受注時に被リンクを外して貰うように依頼しましたが、前のSEO会社の分からない現状であり不可能との事でした。
契約から順位下落まで
順位推移のグラフは以下になります。
以前のSEO会社での同キーワードの順位が3位くらいだったそうです。
(正直、受注した時のサイトの質を見ると、3位になるようなサイトでは無いと思っていました。。)
被リンクに関して危険な状況が続いており予め伝えてはありましたが、受注してから被リンクの警告を受けました。
既に被リンクで危険な状況でしたので、追加でリンクを付与する事はせず、内部の修正やコンテンツ関連の追加や削除、更にソーシャルメディア関連の利用依頼などの対応をしていました。
以前のSEO会社では、被リンクの警告を無視する様に伝えられていたそうで、僕から警告への対応が必要だと伝える事で不信感を持たれる事となりました。
しかもグラフの通り、40位前後で推移していた順位が100位圏外まで下がります。
同時にサイトへの流入が約6割減の状況になりました。
警告からの対処方法
まずは、被リンクで警告を受けているので、不自然なリンクを出来る限り外して、再審査リクエストを送る必要があります。
ウェブマスターツールの【サイトへのリンク】からサイトへのリンクを確認可能です。
具体的な確認方法に関しては以下のサイトに詳しく記載されています。
参考
サイトへのリンクからCSVをダウンロードしてエクセルでサイトの内容を確認します。
あとは地道な作業ですが不自然なリンクを探し出して別のエクセルにまとめます。
今回の案件は不自然なリンクが、ほぼ、中国系のリンクに絞られていましたので、ドメインの最後が「.cn」となっているものを中心に確認しています。
ほとんどが、サイトのトップページにリンクされていましたのが、中には下層ページへリンクされているものもありました。
10,000近い不自然なリンクがありましたので、それらをトップページへのリンク分のCSVファイルと、下層ページへのリンク分のCSVファイルへ分けてまとめ、サイトのルートディレクトリへアップロードしました。
再審査リクエストでは以前のSEO会社から有料リンクを購入していた旨を記載し、リンク元サイトを管理しているSEO会社へ連絡を取り、リンクの削除を依頼しているが対応が返答が無く修正が出来ていない事が書いています。
更にルートディレクトリへアップロードしたCSVファイルのURLを記載し、付与されている有料リンクを調べたが管理外のサイトの為、外す事が出来ない事を記載しています。
また、一部のコンテンツ削除を行った事で、下層ページへリンクしていた一部の有料リンクが存在しないページへリンクされている事も伝えています。
存在しないページへのリンク分のCSVは、きちんと分けてありますので、その旨も再審査リクエストへ記載しています。
ただし、この方法だと警告が完全に解除される事は無いと思います。
少し前に話題になりましたが、基本的には全ての有料リンクは外さなければ許されないそうです。
参考
- Google 社員によるウェブマスターの豆知識: 再審査リクエストにまつわる 3 つの誤解
- 警告を受けたにも関わらず外せない不自然リンクにどう対処すべきか?
- Google、”リンク表示義務付きWordPressテンプレート”のリンクもガイドライン違反と判定
内部修正と新たなリンク獲得施策の実施
内部修正などは警告の有無に関係なく受注してからすぐに開始しています。
(多分、いつか警告を受けるだろう、とは思っていましたので。。)
ただ、偉そうに書ける程、特別な事はしていません。
サイトの内部修正とナチュラルリンクを獲得する為の手法を少し考えて実施した程度です。
主な内部修正の内容は以下の通りです。
・内容の薄いコンテンツページの削除
用語集のページがありましたが、1行程度しか書かれていないものが大量に存在しており、その全てのページからCVページへの内部リンクがありました。
インデックスの無駄だと感じましたので、複数の用語を1ページへまとめてページ内リンク(<a href=”#アンカー名”>のリンク)を使う事にしました。
用語説明の量的に、同じページにある程度の用語がまとまっていた方がユーザーも使いやすいと感じたので、その様にしました。
この部分はサイト構造を見て、別の回避方法が可能であれば、そうした方が良いと思います。
・全ページへのリンクが出ていたフッターリンクの最適化
サイトマップの様なフッターリンクが存在していたので、過剰な内部リンクにならない程度に、見て欲しいページのみに絞ってフッターリンクを変更しました。
・パンくずリンクのアンカーテキストの最適化
内部リンクがサイト全体としてあまり最適化されていませんでしたので、ほぼ全て修正しています。
特にパンくずリンクが割と雑でしたので、キーワードが含められる部分には多少含めつつ全体的に修正をしています。
主なナチュラルリンク獲得手法は以下の通りです。
・ソーシャルメディアの活用依頼
ナチュラルリンクの獲得は必須だと感じた事と、サイトの特性上、ある程度、ユーザーとコミュニケーションを取る事でリンクを獲得しやすいのではないか?と思った事もあり、ツィッターのアカウント登録と、定期的な投稿をお願いしました。
下記のブログ更新の告知以外の時は出来るだけ本サイトのURLの記載もお願いしています。
基本的には、美容に関する事をツィートしてもらう事と、直接質問があれば、具体的に答えてあげる事をお願いしています。
Web担当者は別の業務と兼任だったので、最初は大変そうでしたが慣れると楽しんでやれた様子でした。
・スタッフブログの開設
ソーシャルメディアの活用と並行して、無料ブログサービスを利用してスタッフブログを開設しました。
こちらも、美容系のテーマに固めつつ定期的な記事の投稿をお願いしました。
最初の内は記事の内容に悩んでいましたので、一応、ヒントになる様に
【allintitle:スキンケア でしょうか?】
の様に検索して、知恵袋サイトなどからユーザーが疑問に思っている事について書くと良い、と伝えています。
また、記事の最後にメインサイトへのリンクもお願いしています。
アンカーテキストはサイト名(キーワードも含まれています)やURLにしています。
バイラル促進の為に、ソーシャルボタンの設置とツィッターからブログ更新の通知もしてもらいました。
無料ブログの利用とソーシャルメディア
無料ブログの利用に関しては、予算的な部分もありましたが、一応、別ドメインのサイトからのリンクがあれば良いかな、と思った事と、ユーザーと交流する上で、無料ブログの方が都合が良いと感じたため選択しました。
美容というカテゴリでブログ開設しましたが、ある程度、ユーザーも見てくれて予想以上にナチュラルリンクが獲得出来ました。
基本的にはスタッフブログの方へリンクされるパターンが多かったのですが、一部のユーザーは本サイトへもリンクしてくれました。
ツィッターの利用は、あくまでも交流を目的としていますが、リンクしてくれたサイトがある場合は、お礼の意味を込めて、【○○のサイトが紹介してくれました!】といった趣旨のお礼ツィートをする様にルールを作っています。
その甲斐があってか(?)、意外と順調にナチュラルリンクの数が増えました。
下落順位が”ある程度”回復
グラフで示した通り、以前3位だったと聞いていた順位が元に戻る状況には至っておりません。
ただ、被リンクの警告を受けて、100位圏外まで順位が下がったサイトが3か月弱で10位程度まで戻りました。
検索からの流入数は以前の水準程度まで回復していますので上々だと思います。
流入するキーワード数が増えており、テールワードからの流入に成功した事も良かったのかも知れません。
また、タイトルタグの変更もしたのでCTRに変化があったのかも知れません。
スタッフブログやソーシャルメディアでの交流が良かったのか、CV数だけは上昇傾向にあります。
SEOは手段であって目的ではありませんので、この部分に効果があった事は嬉しく思いました。
今回の記事のまとめ
まずは、警告を受けて順位が下落し、回復するまでの期間を考えると、今回記載した対応の影響で順位が回復したかどうか、は分かりません。
Googleのアルゴリズムが分からない以上、これはどんな施策にも言える事かと思います。
ただ、今回の事例では、あまり簡単なキーワードでは無い事は分かっていたので、被リンクは絶対に必要だと思っていました。
コンテンツの充実だけで被リンクゼロでの順位回復はあり得ないだろう、と。
自分自身の対応の反省にもなると思い、対応内容を書きだしましたが特に目新しい事はやっていませんね。
今回対応してみて被リンクの警告からの回復は本当に大変だと思いました。
もしかすると順位が回復しない場合の方が多いのでは無いでしょうか?
今回の事例では、ある程度の回復はしていますが、回復までの間、検索からの流入数が約3分の1になっています。
実際にCVも下がって数か月間、損失が出ているのです。
しかも、今現在、残っている有料リンクがある事を考えると、今後、更に被リンクの警告が絶対に来ないとは言えません。
被リンク警告からの回復は本当に大変ですし負担も大きいです。
ご自身のサイトでリスクを許容した上で行う場合は良いと思いますが、現在のSEOの流れに反する行為である事は覚えておいて頂きたいと思います。
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