先週の土曜日(2012年6月16日)にウェブ解析×リスティング広告成功の鉄則セミナーへ参加した後のレポート後編です。
前編はこちら
ウェブ解析×リスティング広告成功の鉄則セミナーに参加してきました(前編)
今回はリスティング広告に関する阿部さんのセミナー部分です。
阿部さんのパートは質疑応答も含めると3時間ほどありました。
なので、今回のセミナーレポートは長めです。
本当に良いセミナーでした。
第二部「リスティング広告 成功の法則」セミナー
講師は阿部圭司さん(アナグラム株式会社代表取締役)です。
SEM-LABOというウェブサイトも有名ですよね。
阿部さんのセミナーは前半と後半で、大きく2つのセッションに分かれていました。
リスティング広告やアカウント構造に関するブレークダウン
と
ディスプレイネットワークの効果的な使い方
です。
ちなみにブレークダウンとは、分析を行うといった感じの意味です。
セミナー概要と僕自身のスキル
本当に基礎的な所からお話してくれて、何故リスティング広告が効果が出やすいのか?
そして、殆どの運用担当者の悩みである、CPAの改善の為のアカウントの見方についてまで、分かりやすく解説してくれました。
ちょっと、前置きしておきますと、僕はリスティング広告の運用は1度も行ったことがありません。
同じ部署のリスティング女子が運用していますが、僕はSEOを専門に行なっています。
セミナー前日にリス女に色々と聞いておいたので、ちょっとだけ事前知識は入っていましたw
参加目的としては、リスティング広告を知らずして、SEOの良質なサービス提供はあり得ないだろう、と常々感じていたので、協力して効果を最大化する!という目的で参加しています。
アカウントを見ることで弱点は必ず見つかる
これは、聞いていて納得でしたが、正にその通りでした。
リスティング広告のアカウントは、キャンペーン、広告グループ、キーワード、と括られています。
CPAが高い、という事は、その中のどれかが足を引っ張っている、という事です。
当たり前ですが、費用対効果が悪い部分を見つけて、改善すれば良いのです。
当たり前ですけれども、多くの方が悩んでいる、という事は、見つけられない人が多くいる、という事ですよね。
この当たり前を理解してキチンと行う事の大切さを最初にお話されていました。
正にその通りだと思いました。
また、阿部さんは、自分が運用するリスティング広告というフィールドを理解する為に、ヘルプにある膨大な数のマニュアル全てを読み込んでいるそうです。
なので、細かな変化や、これから起こるであろう変更に気付き、適切な運用が可能になっていると答えておりました。
ルールは必ず理解しておこう
ちなみに、GoogleAdWordsのヘルプを全て印刷すると、広辞苑2冊分くらいの厚さになるそうです。
実際にやったら怒られた、と言っていましたw
SEOで言うと、Googleウェブマスターツールヘルプや、スターターズガイド(PDF)がそれに当たります。
基本ですが、Googleが公開している公式な情報です。
これを見ない手はありません。
ちょっと日本語の情報が遅い場合もありますが。。
ちなみに印刷した事はありませんが、ウェブマスターツールヘルプ(Q&Aや、関連リンク情報含む)全てを読み込むと数週間はかかると思います。
しかも、細かく改定されています。
ルールを理解していなければ、改善も何も出来ない、という事と同じように、阿部さんは、その全てに目を通し理解していました。
運用に関する3つの注意点
運用についての注意点もお話されていました。
特に印象に残っているのが
1.ウェブから離れて事象を分析する事。
2.月別で追いすぎると、大切な事に気付けない事がある事。
3.ある事象に対しては必ず仮説を立てるという事。
の3つです。
1.ウェブから離れて事象を分析する事
ウェブから離れて事象を分析すること、という部分で触れられていましたが、ある事例で、特定の日に、他の日では考えられないほど、突出してコンバージョンしている日がありました。
クライアントへの報告が必要だが、事象について、説明がつく現象が思い当たらない。
テレビで紹介されたのか、雑誌に書かれていたのか?
芸能人ブログで紹介されたのか、部分一致で、うまい具合に引っかかったのか?
全てを考えても説明付く理由が無い。
たまたま、こういう日もあるか、という結論が出そうになった時に、スタッフの方がポロッと「そういえば、この日って凄い雨が降っていましたよね」と言ったそうです。
その一言がきっかけで、天気との相関関係を調べた所、雨の日の休日にコンバージョンする傾向がある事が分かったそうです。
そこで、天気の情報と運用金額の調整を行い、コンバージョンを飛躍的にアップさせることに成功させた、という事例をご紹介頂きました。
これは、1つの事例ですが凄く面白いな、と感じました。
さすがに、何の案件なのか、という所までは記載しませんが、家から出ない、というのが1つヒントになりそうです。
2.月次で情報を見過ぎる事の注意
リスティング広告の運用で、あるアカウントが5月上旬に、効果が下がり始めた傾向が見られたので、原因を調べようと、1ヶ月分の運用状況を洗いなおしてみましたが、どうも決め手に欠ける状況でした。
4月分のデータを見たところ、実は、4月の終わり頃から、徐々にコンバージョンが伸びていて、5月上旬の数値が季節要因で特別高かっただけだった、という事があったそうです。
これは、僕も前から思っていたのですが、月毎に見ることで、何か見落としが出るのでは無いか?と思っていた事の具体的な説明だったので興味深く感じました。
計測期間の設定は難しいですが、サービス提供をしている側としては、無意識に陥りがちな事象だな、と感じました。
3.ある事象に対しては必ず仮説を立てる
最後の1つは、考え方なのですが、阿部さんの会社にはルールがあるそうです。
「やってみなければ分からない」
は禁止との事でした。
このフレーズ、僕もついつい使ってしまいがちなのですが、これって思考停止ワードなんですよね。
考えることを放棄してしまっている事とイコールなのです。
考えて考えて考えぬいて、しっかりと仮説を立てて運用する事が大切だと仰っていました。
例えば、結果的に、その仮説が外れていても、それは新たな発見になります。
仮説が当たっていれば、きちんと分析が出来ていた事になるのです。
同時に以下の言葉をスライドに写していました。
実験には2つの結果がある。結果が仮説を確認したら、君は何かを計測したことになる。
もし結果が仮説に反していたら、君はなにかを発見したことになる。エリンコ・フェルミ(1938年ノーベル物理学賞)
僕らの仕事において、最も恐ろしいのは考えるのをやめて作業に没頭してしまう事かも知れません。
やればやっただけ、そのまま成果に繋がるほど、ウェブマーケティングは簡単ではありませんよね。
ディスプレイネットワークの運用
後編として、ディスプレイネットワークの説明をしてくれました。
実は、このディスプレイネットワークは、あまり良いイメージがありませんでした。
どちらかと言うと、コンバージョンに繋がりにくく、運用が難しいイメージがありました。
今回のセミナーの中で、最もビックリしたのが、これを完璧に使いこなして、しっかりと効果を出している、という事です。
具体的な考え方は2点です。
何を売るのか?
と
誰に売るのか?
この2点を押さえる事で、ディスプレイネットワークの効果を飛躍的に高める事が可能との事でした。
実際に具体例を出されていたのですが、
何を売るのか?
だけを考えてしまうと、単価の高い配信先にのみ配信しなければならず、結果としてCPAの高騰に繋がってしまいます。
例えば、コスメ通販のサイトが、「@コスメ」に配信するなどは激戦区ですよね。
ただ、
誰に売るのか?
を上手く使うと、安い単価で、見込み客へ効果的なアプローチが可能になるのです。
例えば、取り扱う商品は違いますが、芸能人のブログの下に配信するとターゲットはある程度絞り込めますよね。
こういった事を実践することが大切だそうです。
あとは、ひたすら配信先の調整です。
効果の低い配信先を消して、狙った所に配信を行う、という方法でした。
本当に地道な作業だと感じましたが、通常だと配信が難しいようなキーワードを低単価で配信可能、という所は、凄いな、と思いました。
苦労はするけれども、爆発する可能性があるのが、ディスプレイネットワークとの事でした。
質疑応答と懇親会について
質問コーナーや、その後の懇親会で結構ゆっくりとお話させて頂く機会があったのですが、色々と聞けたのが面白かったです。
問題無さそうな質問だけを記載すると、
- 商品名での入札についてはどう考えているのか?
- 名前と会社名を出してブログをやってみて大変だったりしませんか?
- 仕事を受ける基準はありますか?また、断ったお仕事は何でしょうか?
・・・
という感じです。
質問への回答は、結構具体的な企業名なりが出てくるので、記載しません。
ご了承下さい。
これから出前セミナーを受講される方は、こういった事にも答えてくれるんだ、と参考にして下さいw
懇親会の時に、このブログに書く許可を頂いていたので、かなり沢山書きました。
これから、出前セミナーで阿部さんに出会う人は、非常に貴重な機会ですし、とても、勉強になると思いますので、積極的に質問をしたり、セミナーの内容について書かれているブログ記事を読んで、ある程度予習をしていく事で、より理解が進むと思います。
あと、セミナーの内容はキチンとメモを取っておいた方が良いと思います。
人間の記憶は、その時は鮮明に覚えているつもりでも、案外、抜けてしまったり重要な要素が漏れてしまう事が多々あるものです。
熱心にお話を聞きつつ、出来るだけ、ポイントを押さえてメモを取る事は、記憶の定着にも、今後の業務の中で、メモを見返した時に記憶が戻る意味でも、自分自身を助けてくれると感じています。
今回の記事のまとめ
感想を書こうと思っていたのですが、結構、具体的に書いてしまいました。。
ただ、これでも、かなり端折っていますw
なので、本当に内容のあるセミナーだったとご理解頂けると思います。
リスティング広告運用経験ゼロの僕でも、ここまで理解出来たのですから、実際に運用している方の理解度は計り知れませんね。
ちなみに、阿部さんは、とても気さくで話しやすく、僕は、結構長い時間、お話させて頂いた気がしますw
また、お会いする機会があれば嬉しく思います。
ススキノで飲んでいたのですが、あくまでも爽やかにお酒を楽しみましたw
阿部さんは(多分)札幌を満喫してくれたと思います。
SEM業界のプロフェッショナルの皆様は、札幌での出前セミナーをして頂けると凄く嬉しいです。
お待ちしておりますw
このセミナーの後日、阿部さんがブログを更新していました。
そちらもセミナーでお話されていた事です。
参考
リスティング広告は運用額によって担当者のスキルを評価するべきではない理由
本当に凄いリスティング広告プレイヤーは、運用金額じゃない。
どれだけ、成果を上げて、増額出来たか、だ、という部分は凄いですよね。
少ない予算の中での創意工夫は、大きな成果として跳ね返って来るのでは無いでしょうか?
今回のセミナーも、本当に良い実り多きセミナーでした。
今後は、SEOエキスパートの方も札幌でセミナーを開催して頂けると、本当に嬉しく思います。
阿部さんも、また札幌に来たいと仰ってくれておりますし、1年に数回でも、札幌のSEM業界を盛り上げる為に、第一線でご活躍されている方のお力をお貸し頂けると、札幌のSEM業界もより一層盛り上がると感じています。
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